パンの原料として好適な小麦粉は、たんぱく質含有量が多い強力粉です。国産小麦は中力粉が主であるため、外国から強力粉の原料になる硬質小麦が輸入され、パンの原料として利用されています。

輸入小麦については、ポストハーベスト農薬(収穫後に使用する農薬)が心配だという人がいます。小麦の場合、収穫後の貯蔵、輸送時に昆虫等が発生した場合に、農薬散布や燻蒸処理(気体の薬剤を浸透させて昆虫等を駆除する処理)が行われることがあります。しかし、パンに使用されている小麦の産地であるカナダ、米国北部は、冬場はマイナス30度以下になることから、寒気によるエアレーションが行われていて、貯蔵時に農薬散布や燻蒸処理が行われることはほとんどありません。また、船での輸送時に赤道を通過することが無いことから、輸送中に昆虫等が発生することもほとんどありません。肝心なのは、実際にどんな農薬がどの程度残留しているかということです。

食品衛生法に基づいて、残留農薬基準が定められています。もし農薬が残留していたとしても、この基準内であれば、安全性が確保されていると考えることができます。

また、平成18年5月からは、食品衛生法の改正により、「残留農薬等のポジティブリスト制度」が導入されました。これまで残留農薬基準が設定されていない農薬が食品から検出されても、ただちに違反となることはありませんでしたが、ポジティブリスト制度の施行後は、残留農薬基準が設定されていない農薬は、すべて0.01ppmという厳しい「一律基準」の対象とされ、これを超えて検出された食品は流通を禁止されます。なお、この制度の導入に伴い、これまで残留基準のあった283品目を含め799農薬等について残留基準が定められました。



パンに使用されている小麦の99%は、カナダ産および米国産です。小麦は国家貿易品目とされていて、ほぼ全量を農林水産省が輸入して、製粉メーカーに売り渡しています。残留農薬検査は、農林水産省が輸出国での船積み時と産地段階(サンプル数は年間100検体)で実施しています。また、日本への到着時に厚生労働省が検査を実施しています。農林水産省の検査結果では、残留農薬等が基準値を超えたものは無いということです。⇒詳細はこちら



1日摂取量調査(マーケットバスケット調査)といって、普段の食事を通してどのくらい農薬を摂取しているかを知るために、実際に標準的な献立を作り、食材を購入し、調理したのち残留農薬の分析を行う調査も行われています。(厚生労働省 食品中の残留農薬の1日摂取量調査結果)

この調査では、食品を、「穀類(米及び米加工品)」から「飲料水」まで14の食品群に分類し、食品ごとに残留農薬の摂取量を求めています。最近の調査結果では、「平成21年度〜22年度の調査において、47の農薬等がいずれかの食品群において検出されたが、推定された平均一日摂取量(μg/人/日)の対ADI比(%)は0.01%〜5.92%の範囲であり、国民が一生涯に渡って毎日摂取したとしても健康に影響を生じるおそれはないものと考えられる。」とされています。因みに、パンを含む食品群(米以外の穀類と種実類、いも類のグループ)からは平成21年度に3種類、平成22年度に5種類の農薬等が検出されています。
参考:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/130415-1.html

ADI*(1日摂取許容量:Acceptable Daily Intake)とは、ある物質について、人が一生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量。

 

最終更新日:2014年12月11日

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